さて前回まで、貯めながら税金が安くなるというiDeCoの良い点ばかりをお話してきました。
それではiDeCoを始めるにあたって、デメリットは全く無いのでしょうか?
物事には必ずと言ってよいほど、良い面と悪い面があります。
良い面ばかりを見て、悪い面を知らずにいると、あとで後悔することになってしまいます。
それをデメリットと感じるかどうかは人それぞれですが、iDeCoを始めるにあたって、知っておいて頂きたい点が2つあります。
ひとつは、「年金」という制度上、原則として60歳まで引き出すことが出来ません。
この点が必要な時にいつでも引き出すことの出来る「預金」との大きな違いです。
iDeCoのために手許の資金が不足して借金なんてことになってしまいますと本末転倒ですよね。
ですから老後資金を貯めるという目的を忘れないことが大切です。
八百屋で魚は買えませんからね。(笑)
もうひとつは、iDeCoには手数料が必要であるということです。
手数料の金額は金融機関によって異なりますが、口座開設時に2,777円、そして別途、月ごとの運用管理手数料が167円~600円程度です。
つまり、手数料の最も安いところでも年間2000円程度の手数料が必要になります。
もちろん、iDeCoによって得られる節税効果を考えた時、この手数料はデメットだと感じないという方もおられます。
ただ、iDeCoは長期間の運用となりますし、特に前回お話させて頂きました定期預金タイプの運用をなされる方にとっては、運用益はほぼ見込めませんから、手数料の安い金融機関選びがとても大切になります。
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後記
私はこのiDeCoという制度を考えた時、ひとつ感じることがあります。
それは、現在の年金制度に対する不安です。
もちろんiDeCoやNISAという制度で証券市場を活性化させたいという政府の直接的な意図は良く分かります。
しかし別の視点からこれを見たとき、現在の年金制度は"超"のつく少子高齢化社会という現況ではそう遠くない将来に継続が困難となる大きな問題を抱えていることは周知のとおりです。
我々国民の立場でも不安を感じているぐらいですから、制度を設計し、運営している立場ならなおさらでしょう。
iDeCoという制度に税制上の優遇を与えてまで、これを推奨する政府の意図には、
『自分の老後の資金は自分で貯蓄しておきなさい。だって、現在の年金制度は現役世代の保険料で高齢者の方の年金を支給する賦課方式、"世代と世代の助け合い"だと言っているじゃないですか。自分の老後資金を積み立てている訳じゃないのですよ。国はその時がきたら、ない袖は振れませんから、今のうちから準備しておいてね。』
という隠れたメッセージが込められている気がしてならないのです。
もちろん杞憂に終わればと願いつつも・・・。
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